帰りの電車が死ぬ程混んでいた。
隅田川の花火と夏休みを満喫している輩であふれかえっているのだ。
私の両サイドにはマンガを読むおたく風男子と
スポーツ新聞を手のひらサイズにして読んでいる年令不詳の男子がいた。
パーソナルスペースを確保できないからやだなと思いつつ,
立ったまま寝たふりをする。
電車がカーブを曲がる度,急ブレーキをかけるたびに私はイライラした。
マンガ君と手のひらサイズ君にではない。
私がイライラしたのは,よろけてぶつかってくる若い女子。
なんで全体重かけてつっこんでくるんだろう?
少しその場で踏ん張ってみてもいいじゃないのと思う。
もし人にぶつかってしまうならなるべく体重がかからないように意識をも
つだけでもだいぶ違うと思うんだけど。
なんで私がよろけてもペチャクチャと連れと話を続けてるあんたを懸命に
支えなくてはならないんだ!
「なんかミュールだからさー」
自分一人も支えられない靴なんて履くな!
ヒールを折ってペタンコ靴にしてやりたいところだったが,駅に着いたのでやめた。